建設業への転職を考えている方、また今まさに建設業で働いている方へ。
近年、建設業界は働き方改革や労働基準法の改正により、休みや待遇といった分かりやすい部分は、確実に良くなってきている。正直、条件だけを見れば「本当に建設業か?」と思うような会社も珍しくなくなった。
個人的には、ゼネコンや大手建設会社よりも、中小建設会社をおすすめしたいと考えている。
現場との距離が近く、仕事の全体像を掴みやすいだけでなく、働き方の融通が利きやすい点も大きな魅力だ。裁量を持って動ける場面も多く、自分の判断で仕事を進められるため、成長実感を得やすいのは中小企業ならではの強みだ。
ただし、ここには一つ大きな注意点がある。
中小建設会社は、社長の考え方や組織の仕組みが、そのまま職場環境に反映されやすいという点だ。
その一方で、中身がまったく追いついていない会社があるのも事実である。考え方は昔のまま、仕組みもあいまい。それでも求人だけは今風に整えられているため、外からは優良企業に見えてしまう。
本記事では、現場で見聞きしてきた実例をもとに、入社してから違和感を覚えやすい建設会社の社長の特徴を、少し踏み込んで整理していこうと思う。
建設業への転職を考えている未経験の方にも、ぜひ参考になれば嬉しい。
【優秀な人材が離れていく】建設会社や社長の特徴
最初は「勢い」だけで会社は大きくなった
建設業では、社長自身が現場で結果を出し、その勢いで会社を拡大してきたケースが多い。若い頃は誰よりも動き、無理をしてでも仕事を取り、寝る間も惜しんで現場を回してきた。この段階では、マネジメント力が不足していても会社は回る。
しかし、社員が増え、組織として運営するフェーズに入ると状況は変わる。勢いだけでは限界が見え始める。
社員が増えるほどマネジメント力の不足が浮き彫りになる
人が増えれば増えるほど、社長一人の感覚や判断では全体を把握できなくなる。役割分担や評価基準、意思決定の整理が必要になる。マネジメント力を学ばないまま来た社長ほど、「思った通りに動かない」「部下が扱いづらい」と感じやすくなる。ここで起きている問題は、社員の質ではなく、組織の成長段階に社長のスキルが追いついていない点にある。
考え方が一人親方レベルで止まっている
会社が大きくなっても、思考が一人親方のまま止まっている社長は少なくない。自分がすべて把握し、判断し、輪の中心にいる状態が当たり前だった成功体験が抜けない。
自分が一番でいたい、いつまでも中心でいたい。この考え方自体が悪いわけではないが、社員が増えるほど組織とのズレが大きくなっていく。
仕事ができて誠実な人ほどねたまれやすい
このタイプの社長のもとでは、仕事ができ、真面目に誠実に働く人ほど扱いが難しくなることがある。評価されるどころか、距離を置かれたり、厳しく当たられたりするケースも少なくない。
背景には、過去にバカにされてきた経験や劣等感が影響していることがある。本人が自覚していなくても、自分より評価されそうな存在に対して防衛反応が出てしまう。
その結果、能力の高い人ほど居心地が悪くなる。
自分より仕事ができない人を可愛がりやすい
一方で、判断を委ねてくる人や頼ってくる人、自分より仕事ができない人は近くに置きやすい。主導権を握り続けられるため、精神的に安心できるからだ。
これは感情の問題というより、安定した立場を保ちたいという無意識の選択とも言える。ただし、その環境では組織としての成長が止まりやすくなる。
自社の社員に張り合ってくる社長が生まれる理由
社員の中に自分より優れた人が現れると、本来は任せるべき場面で、社長が張り合ってしまうことがある。細かく口を出したり、判断を覆したり、成果よりも失敗を強調したりする行動が増えていく。
社長本人は会社を守っているつもりでも、社員側から見ると正当な評価がされていないと感じやすい。このズレが積み重なると、信頼関係は徐々に崩れていく。
最終的には、イエスマンだけが残る組織になる
このような環境では、自分で考えて動く人ほど消耗しやすくなる。反対に、意見を言わず指示に従う人のほうが居心地よく残りやすい。
その結果、仕事は回らなくなり、社長はさらに忙しくなり、優秀な人材ほど定着しないという悪循環が生まれる。
優秀な人材が離れていく理由
人が辞める理由は、給料や待遇だけではない。評価に納得できるか、成長できる環境か、将来性があるかを冷静に見ている。
優秀な人ほど感情的な衝突を避け、「ここでは限界がある」と判断した時点で次の環境を選ぶ。辞める時は静かで、突然に見えることが多い。
【優秀な社員を潰す】社長を見極めるチェックリスト
以下の項目にいくつ当てはまるか、感情を入れずにチェックしてみてください。
すべて当てはまる必要はありませんが、複数当てはまる場合は注意が必要です。
- 学歴そのものではなく、経営者になってから人や組織について学んでいる様子が見られない
- 自分の過去の栄光や若い頃の武勇伝を頻繁に語る
- 周囲の状況や現場の意見をあまり聞かず、思いつきで突き進む
- 昨日言っていた方針と、今日言っていることが大きく食い違う
- 重要な判断を先送りし、最終的に責任を部下に任せることが多い
- 社員の相談が、いつの間にか社長自身の話にすり替わっている
- 機嫌の良い日と悪い日の差が激しく、対応や評価が安定しない
- 自分のミスを認めず、言い訳や責任転嫁が多い
- 自分より仕事ができる人を素直に評価できない
- 意見を言う社員より、イエスマンのほうが重宝されている
チェックの目安
- 0〜2個:現時点では大きな問題は少ない可能性が高い
- 3〜5個:組織運営に歪みが出始めているサイン
- 6個以上:優秀な人材が定着しにくい構造になっている可能性が高い
このチェックリストの目的は、社長を批判することではない。働く側が、自分の時間やキャリアをどこに使うべきかを冷静に判断するためのものだ。
働く側が知っておくべき視点
社長の劣等感やマネジメントの限界は、社員個人の責任ではない。評価されないことと、能力がないことはまったく別の話だ。消耗し続ける職場は、成長の場になりにくいという事実も押さえておきたい。
これは感情論ではなく、構造の問題として理解する必要がある。
おわりに
建設業は、個人の力で成長してきた会社が多い。創業社長の場合は特に。その成功体験が、組織化の壁になることもある。
優秀な人材が離れていくのは、社長が悪人だからではない。学ぶべきマネジメントのフェーズを通らずに来てしまった結果だ。
違和感を自分のせいにしないこと。
構造として冷静に捉えること。
それが、次の選択を間違えないための大切な視点になる。


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