「最近は建設業でも女性が増えてきた」
これは、実際に現場に立っている私自身も強く感じていることです。
女性を積極的に採用したい企業も増え、現場環境や制度面は、少しずつですが確実に改善されてきています。ただ正直に言うと、すべての現場がそうとは限らない、というのが現役施工管理としてのリアルな実感です。
今回は、あまり表では語られにくい「現場のトイレ問題」について、私自身がこれまでに経験してきたことも交えながらお話しします。
この記事は、以下の方におすすめ!!
- 長く安心して働ける会社を選びたい方
- 入社前に「何を確認すればいいのかわからない」方
- 女性でも本当に働けるか不安を感じている方
女性が増えてきたからこそ、見えてきた課題
以前に比べると、
・女性用トイレが用意されている
・仮設トイレでも男女別になっている
・更衣スペースが確保されている
こうした現場は確実に増えてきました。
企業側も「女性が働くこと」を前提に、環境を整えようとする意識が高まってきていると感じます。それ自体は、とても良い流れです。
ただ一方で、現場の立地や規模、会社の考え方によっては、まだまだ追いついていない場所があるのも事実です。
実際にあった現場トイレのリアルな話
これは、私が実際に経験してきたことです。
男性用トイレしかない現場
「女性用トイレはありません」と、当たり前のように言われた現場もありました。理由はシンプルで、「今まで女性がいなかったから」。悪意があるわけではなくても、女性が働く前提で準備されていない現場は、少なからず今でも存在します。
山奥の現場で、そもそもトイレがない
山間部や人里離れた現場では、仮設トイレ自体がまだ設置されていないケースもありました。こういった現場では、「トイレをどう確保するか」、「女性が安心して使える環境を用意できるか」という、会社側の対応力がそのまま表れます。
トイレまで車で10分以上⁉我慢が当たり前だった現場
女性用トイレが用意されていない、もしくはトイレ自体が非常に遠い現場は、今でも珍しくありません。私が担当した現場の中には、トイレまで車で10分以上かかる場所しかないケースもありました。
施工管理は、現場全体を見ながら動く立場です。作業が重なっている時間帯や、安全管理が必要な場面では、簡単にその場を離れられないことも多くあります。「今は離れられない」「もう少し我慢しよう」と、自分に言い聞かせることが続きました。
その結果、我慢しすぎて膀胱炎になってしまったことがあります。体調を崩して初めて、これは根性や自己管理の問題ではなく、明らかに環境の問題だと気づきました。
トイレが遠い、行きたいときに行けないという状況は、女性にとって想像以上に身体への負担が大きいものです。「我慢できるかどうか」ではなく、「我慢させない環境が整っているか」。この視点を持って現場を見ることが、女性が安心して働き続けるためには欠かせないと感じています。
女性用トイレを男性が使ってしまうケース
男女別にトイレが用意されていても、「空いているから」と男性が女性用を使ってしまうことも、残念ながらあります。悪気がない場合がほとんどですが、使う側の意識と、管理する側のルール作りがないと、女性は不安を感じやすくなります。
鍵付きの女性用トイレがある現場も
一方で、しっかりと対策されている現場もあります。
女性用トイレに専用の鍵が付いている現場に出会ったこともありました。理由を聞くと、過去にトイレ内に盗撮カメラが仕掛けられていたことがあったそうです。
とてもショックな話ですが、同時に「問題が起きたあと、きちんと向き合い、再発防止策を取っている」という点では、女性の安全を本気で考えている現場だとも感じました。
工事内容によって使えるトイレは大きく変わる
現場のトイレ事情は、「建設業だから一律で同じ」ではありません。工事の内容や現場の状況によって、使えるトイレは大きく変わります。
新設工事の場合、多くの現場では仮設トイレが設置されます。そのため、女性用トイレが用意されるかどうか、清掃頻度はどうかといった点が、現場環境を左右します。
一方で、店舗やオフィス、病院、工場など、お客様が現在使用している建物で工事を行う場合は、お客様の施設内トイレを使用させてもらえるケースもあります。
この場合、清潔さや設備面では安心できる一方、「どこまで使っていいのか」「時間帯の制限はあるのか」など、事前の確認や配慮が必要になることもあります。
つまり、トイレ環境は会社だけでなく、現場の種類によっても大きく左右されるというのが現実です。
元請けかどうかで、環境改善のしやすさは大きく変わる
現場のトイレ環境は、「会社の意識」だけでなく、どの立場で仕事をしているかによっても大きく左右されます。特に感じるのが、元請け工事か、一次・二次請け以降の工事かという違いです。
元請けとして工事を請け負っている場合、現場全体の管理権限があるため、女性用トイレの設置、仮設トイレの追加手配、清掃頻度の調整などを自社判断で進めやすい環境があります。
一方で、一次請け、二次請けと下請けの立場になるほど、「トイレはもう決まっている」「今さら変更できない」といった状況になりやすく、自社だけでは環境改善が難しくなるのが現実です。
つまり、女性が働きやすい現場環境を本気で整えようとすると、個人の努力だけでなく、会社の立ち位置(元請けかどうか)も大きな影響を与えるということ。これは、実際に現場で働いてきたからこそ感じたリアルな部分です。
トイレ問題で見える「会社の本気度」
現場のトイレ環境は、単なる設備の話ではありません。
・問題が起きたときに、どう対応するか
・女性からの声を「わがまま」と捉えず、改善しようとするか
・前例がなくても、準備しようとする姿勢があるか
こうした部分に、会社の姿勢がはっきりと表れます。
女性用トイレが最初から完璧に整っているかよりも、「必要だと分かったときに、きちんと準備できる力があるか」ここは、とても大切なポイントです。
入社前・配属前にチェックしてほしいこと
可能であれば、面接や配属前にこんな点を確認してみてください。
・女性用トイレはあるか
・ない場合、準備や対応は可能か
・男女別のルールは決まっているか
・現場で女性が働くことを想定した説明があるか

まとめ|トイレ環境から見える、女性採用への本気度
女性が建設現場で働くことは、もはや特別なことではなくなりつつあります。実際に女性施工管理や女性作業員は年々増え、受け入れに前向きな企業もとても多くなってきました。
それでも現場環境にはまだ差があり、場所や会社によって現実は大きく異なります。
トイレ問題は、「女性が我慢すればいい」という話ではありません。安心して働けるか、長く続けられるかに直結する、とても重要な要素です。
トイレをどう扱っているかは、その会社の価値観を映す鏡だと、現場に立ってきた女性施工管理として強く感じています。また、現場環境の小さな不便に目を向け、従業員や女性社員の悩みに寄り添おうとする姿勢こそが、働きやすさと定着につながっていくのだと思います。
これから建設業にチャレンジしようとしている女性が、少しでも安心して一歩を踏み出せるように。そして企業側にとっても、「女性を迎える準備とは何か」を考えるきっかけになれば嬉しいです。


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